第2回 企業がSkypeを使うメリットは何か?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061218/257133/?ST=skype&P=4
第2回 企業がSkypeを使うメリットは何か?
Skypeを使う本当のメリットとは
前置きが少々長くなり過ぎました。ここからは実際の企業へのSkypeの導入事例を紹介していきます。今回のメイン・テーマは「Skype導入で得られる本当のメリットは何か」です。一般に,Skype導入のメリットとして「コストの削減」が第一に挙がるのは間違いないところです。実際に弊社の管理ソフトのユーザーにヒアリングをしてみたところ,やはり海外との国際電話料金を削減したいというニーズがトップでした。
しかしながら,こうしたコスト・メリットが本当に多くの企業にとって最も大事なことなのでしょうか?決してそうではない,少なくともそれだけではない,というのが私の考えです。そもそも,導入側にとってのメリットと利用者にとってのメリットはいつも一致するとは限りません。例えば,弊社の前にあるコーヒー・ショップは夏に店内に強い日差しが差し込まないようにと,大きなサンシェードを設置していました。店側は日差しよけとして設置していると思いますが,私にとっては“視線よけ”としてとても便利でした。外から中が見えないので,仕事をちょっと抜け出して一服していても見つからないという安心感を提供してくれていたのです(笑)。
当然そういう目的ですから,夏が過ぎ,サンシェードが撤去されると私の足はこのコーヒー・ショップからすっかり遠ざかってしまいました。店側はまさかそんな客がいるとは考えてもいなかったでしょう。このように利用者の思いというのはさまざまで,100人いれば100通りの考え方や物の見方があるはずです。そうしたことを一切考えずに,コスト削減だけを狙うような狭い視野で物事を決めてしまうと思わぬ損をするかもしれません。今回紹介する事例は,まさにそんなことがぐぐっと伝わってくる事例です。
本社と海外デスク間の通話をSkypeで置き換え
今回,Skype導入の舞台となるのは,国内のクレジットカード会社です。正確には,皆さんが海外でクレジットカードを利用する際に相談窓口となってくれる海外デスクが現場です。海外デスクでは,日本から旅行やビジネスでやってきた日本人を相手にしています。このとき,現場で解決できない問題は日本の本社とやりとりを行います。
最近は日本でもクレジットカードが普及しているので,海外デスクの仕事は以前と比べて相当忙しいそうです。さまざまな相談やトラブル処理のために,海外デスクと日本本社との間でのやりとりも増えており,日々多くの時間を情報交換やコミュニケーションに費やしているといいます。
私が担当したその会社,仮にX社としましょう。X社はハワイ,ロスアンゼルス,サンフランシスコ,ラスベガスに海外デスクがあり,常時コミュニケーションをとり合っている担当者は総勢20人程度。現地のスタッフはすべて日本人ということでした。X社では,本社と海外デスクの間の国際通話にかかっている料金を削減しようということで,3カ月前からSkypeを導入し始めました。システム担当者のAさんに話を聞くと,導入のきっかけはトップダウンでの指示だったとのことでした。「Skypeという無料で使える電話がある。それを使って国際通話のコスト削減ができるかどうかを調べなさい」という指示がAさんに降りてきたそうです。
そのとき,担当者のAさんはまだSkypeを使ったことはなかったどころか,Skypeそのものを知らなかったそうです。Aさんは,あわててSkypeに関して調査をしたり,実際に使ってみたりしました。その結果,「私のような初心者でもすぐに社内から簡単に使えて戸惑いました。これほど簡単に使えてしまうと,社内で知らない間に使われるなど管理するのが難しいのでは?」とSkypeが簡単に社内ネットワークを越えてつながるしくみに,驚き半分,とまどい半分だったそうです。
Aさんによれば,このほか導入に当たっての不安材料として,「SkypeIDがどうしても公開されてしまうため,イタズラ電話のようなものがかかってくるのではないか」とか,「Skype名から個人名などが特定されてしまうのではないか」といった点が挙がったといいます。これらは,多くの企業からSkype導入の共通の不安点として上がってくるものです。
Skypeのしくみ上,外部に完全に情報を非公開にするのは無理ですが,イタズラ電話などはプライバシ設定で簡単に防止できます。このように, いくつかの不安材料はあるものの,いずれも技術的に問題ないレベルまで解決可能だと判断し,Aさんは上司にSkypeの導入を進言しました。最終的に社内での利用に関しての決裁が下り,X社では海外デスクと本社間でSkypeの本格導入が決まりました。
[2006/12/22