ネット電話「スカイプ」創業者が語る「次の一手」
「豪華なビデオ広告が再び流行る。チャンスだ」
2007年6月4日 月曜日 FINANCIAL TIMES
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スウェーデン出身のニコラス・センストロム氏(41)は2年前、ヤヌス・フリス氏と共同創業したインターネット電話サービス会社スカイプ・テクノロジーズをイーベイに26億ドルで売却し、世界屈指のインターネット起業家の仲間入りを果たした。スカイプユーザー同士の無料通話をインターネット経由で実現し、大手通信事業者のビジネスモデルに挑んだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070601/126205/
センストロム氏は以前から反逆児としての評判を得ていた。2000年にはカザー(Kazaa)を開発。このソフトにより、ネット上で数百万人ものユーザーが著作権保護された楽曲を共有できるようになったため、著作権者が訴訟を起こす事態に発展した。
今年発表し動画配信サービス「JOOST(ジュースト)」は、メディア企業ともっと協調的な関係を築くものだ。センストロム氏はFT.comのインタビューに応じ、ネット広告の将来性やイーベイへの事業売却後の生活について語った。
問 ネットを利用して音声データなどを送受信する技術「VoIP」の将来性についてお聞かせください。
答 今、非常に多くの人がインターネットを使って音声通話を行っています。しかし、これは単に人と人との会話だけにとどまるものではなく、動画、テキストメッセージ、ファイル共有など、会話を豊かにするものです。
問 イーベイとの関係から、どのような収穫を得ていますか。
答 イーベイの傘下に入って約1年半になりますが、スカイプの事業を拡大するうえで極めて大きな力となっています。イーベイの幹部から支援を得られて本当に助かっています。イーベイは過去に同様の経験を積んでいますから。
もう1つは、スカイプ、ペイパル、イーベイの市場間に見られる相乗効果です。例えば、我々は最近「センド・マネー」を導入したので、今ではスカイプを利用する1億600万人のユーザーが互いに送金もできるようになりました。
問 スカイプの信頼性については、どの程度の懸念がありますか。
答 我々にとって品質はとても重要であり、スカイプの音声の質は実際、固定電話よりもかなり高品質です。しかし若干携帯電話と似ていて、例えばエレベーターの中で通話が途切れるように、スカイプでも同様のことが起こる。ネットの接続状況が悪いと通話が途切れたりするわけです。スカイプ自体の信頼性は非常に高いのですが、ネットワークの接続状況が良くない場合には、通話品質についても信頼性が低くなることがあるかもしれません。
問 イーベイは最盛期を迎えたのでしょうか。
答 イーベイは類稀なサクセスストーリーを体現しましたが、今は急成長期から成長の緩やかな時期という別の段階に移っています。それだけでなく、現在の規模からもっと大きな会社になるという、さらなる成長の段階でもあります。
問 イーベイCEO(最高経営責任者)であるメグ・ホイットマン氏から学んだ教訓の中で最も重要なものは何ですか。
答 組織を重視する姿勢です。会社が小さい時はスタッフの管理や情報の伝達は非常に簡単です。会社の規模が拡大するにつれて、戦略やビジョン、優先順位などを適切に伝えるうえで、ずっと高いコミュニケーション能力が求められるようになります。
問 欧州で起業家になることは難しいですか。
答 はい。起業家精神を支持するとは言い難い文化がありますから。起業家は周囲とうまく調和できない人と見られるし、もし起業家として成功しなければ、周囲からは「ほら、言った通り、うまくいかなかっただろう」と言われる。
加えて官僚主義があります。欧州では多くの国で雇用が手厚く保護されています。もちろんそれ自体は大変良いことですが、例えば自己資金で会社を立ち上げ、従業員を2人雇い、会社の業績が芳しくない時には、その2人を解雇できないと困る。しかし欧州の多くの国では、それが難しいのです。
問 ネット広告の分野では、どのような変化が起きていると思われますか。
答 豪華なビデオ広告が再び流行の兆しを見せています。私は、これを大きなビジネスチャンスと捉えています。テレビ広告は最大の広告メディアですが、ターゲティングの機能が不十分で双方向性もありません。したがってテレビ広告と、ターゲティング、レポーティング、双方向性というネットのメリットを組み合わせれば、より一層効果的な広告(を制作できる)ということです。
問 それでは、ネットワークテレビ局の時代は終焉に向かい始めたということですか。
答 仮にいつかそうなるとしても、完全に交代するまでには非常に長い時間がかかるでしょうね。
問 しかし、既存のテレビ会社はネットの進歩に対して十分迅速な対応をしているのでしょうか。
答 ネットがとてつもなく大きいビジネスチャンスであることは皆、気づいています。誰もがネット上にある商機と関わりたいと切望している。その点はネット企業と一緒です。
問 ユーチューブとコンテンツプロバイダーとの間で生じた軋轢については、どうお考えですか。
答 確かにメディア企業はネット企業と交渉する必要がありますが、メディア企業がコンテンツを無断使用されたと感じる場合には、話し合いが難航します。そこでメディア企業は著作権を保護してくれる企業と協力するというチャンスもあるのです。
「ジュースト」を立ち上げた際には、コンテンツプロバイダー、広告業者、消費者の立場を十分考慮したので、最初からコンテンツ会社の著作権を保護できるインフラになっています。
問 既存のメディア企業は、そのような話し合いを持つことに前向きですか。
答 ええ。ヤヌス(フリス氏)と私は何年も前にカザーという会社を創業しましたが、コンテンツ会社にとって少し時期尚早な存在でした。今ではコンテンツ会社と協力する際に先方の懸念を考慮すれば、提携話も非常に生産的なものになります。
問 「セカンド・ライフ」のような仮想世界サービスは一時的な流行にすぎないのでしょうか。
答 双方向性のレベルは、ネット上で提供されているどのサービスよりも非常に奥深いものとなっています。(しかし)今のところは、依然として実験的な要素が大きい。人が互いに交流する方法を根底から塗り替えるようなものではありません。