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いまや「ネット選挙」でなければ選挙ではない

 「日本は資源のない国だ」と、子どものころからよく社会科の授業で何度も何度も聞いた。この授業ではたいてい、その後に続いて「日本には資源がないから、ほかの国に売るものがない。だから、人が頭を使って、体を使って、働いて、初めて国が経済的に成り立つ」という内容のことを先生はいっていた。海外から買ってきた原料で製品を作り、その製品を原料よりも高い値段で買ってくれるから、日本の産業は成り立ち、その利ざやが、みんなが食べていくためのお金になる。

http://www.ohmynews.co.jp/news/20070713/13127

 どんな職業であるにせよ、日本人は「働く」ことがなければ飢えてしまう。頭を使い、体を使うことが必要なのだ。働く時間を削ることは、身を削ることであり、国を衰退させてしまうことにつながる。まさに、「資源小国」日本にとっては「労働」こそが国を支える基礎である。「時は金なり」そのままだ。

 この12日に告示され、29日に投票が行われる参議院選挙では、従来と同じように、告示後は、候補者や政党のホームページの更新は原則できない、など「ネットを使った選挙運動」は非常に制限されている。

 しかし、日本人の多くは街頭演説会に行くほどヒマではない。「仕事で日中外に出ることになって、駅前を通ったら、たまたま街頭演説会をやっていたけれど、よく考えたら選挙期間中、選挙らしい声を聞いたのはあのときが最初で最後だった」という人は、私の周りにとても多い。みな、仕事が忙しいからだ。

 朝の7時前には起き、電車に乗り、県境をわたって仕事場に着くと、昼までPCの前で仕事。昼に外に出るヒマもなく、社内の食堂や売店で簡単に昼ごはんを買って、職場の机で昼食、という人も多い。午後の仕事もやっぱりPCの前。打ち合わせなどが間に入るにしろ、ほとんどのことを社内で済ませる。

 なぜかといえば、メールそのほかでのコミュニケーションで仕事の効率化を図らなければならないから、客先に出向くことさえ、最近は減っているからだ。客先でも、訪問客を限らないと、客先の仕事の効率も落ちてしまう、という事情は同じだから、訪問客を嫌う傾向がある。みなネットで仕事を済ませることが非常に多くなった。おまけに、メールなどでは仕事の記録が残る、という利便性もある。

 さらに、午後10時をまわって帰宅してからの時間でも、テレビなどの時間の利用の効率の悪いニュースを見ることは減った。ネットでニュースサイトのヘッドラインを確認し、面白そうなニュースだけ見る、ということも当たり前だ。新聞をダラダラと読む時間は、それはそれで楽しいものだが、やはりそれは休日の小さな楽しみ、という感じになっている。

 夜、帰宅してやっと1人になれた時間でも、寂しければPCの前でSkype(スカイプ・無料IP電話)で友人を呼び出して会話。あれこれとネット上をうろつきながら、ああでもない、こうでもない、とよもやま話でストレス解消をする。これもPCの前にいなければできない。テレビを見たければPCに付属のテレビチューナーで、テレビのウィンドゥ上でテレビを見る。

 結果はどうか? 私の友人などでは、小学校の娘に学校の作文で「うちのお父さんはパソコンの付属品」なんて書かれているオヤジもいるという。

「有権者がどういう生活をしているか、考えなくちゃダメよ!」(撮影:三田典玄)

 日本を支える労働者は、街頭演説会を立ち止まって聞くほどヒマではない。選挙の日曜日の当日になって、初めて候補者の情報を得ることだってある。ネットにはその情報がばらばらにある現状では、正直なところ、間際になってからではちゃんと投票のための情報が得られない、ということだってよく起きる。

 「働かなければ生きていけない」日本人であればこそ、ネットによる投票、ネットを使った選挙が必要だ。これからの日本には、時間と労力のムダともいえる「街頭演説会」なんてものはいらない。だいたい、街頭であるとそうでないとを含め、演説会に来た人全員が投票に影響を受けるとして、いったくどれほどの比率の有権者が影響を受けるのか? きっと、とんでもなく少ない人数に違いない。

 日本では、その全人口の70%が都会に住む。都会で生活をし、都会で仕事をしている。だからこそ、ネット選挙はより重要なものになる。選挙管理委員会は役所の仕事だ。彼らはその労働時間中、選挙のことばかり考えていればいいだろう。候補者や政党だって、選挙に全身全霊を傾けている。これも、選挙に自分の時間を使うことは当たり前だ。しかし、投票する人のほとんどは、選挙以外のほかの仕事が忙しい「国民」なのである。選挙はその片手間の空いた時間にするしかない。

 有権者のあらゆるかたちでの正しい投票を保証するのが選挙管理委員会の仕事の1つであるのであれば、ネットでの選挙はしなければならない。

 「世の中の流れがネットだから」というようなことではなく「ネット選挙は多くの有権者にとって必要だから」行わなければならない。

 みんな、忙しいのだ。

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