FCC、無線周波数帯の「オープンアクセス」支持【WSJ】
ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)米連邦通信委員会(FCC)は、魅力的な無線周波数帯の免許入札に関する規則を承認することにより、既存の携帯電話サービス会社と米グーグル(Nasdaq:GOOG)などの新規参入見込み組による戦いに道筋をつけた。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=RSBSC3930%2002082007
2008年初めに実施される予定で、約150億ドルを国庫にもたらすと予想されているこの入札への参加を希望する企業には、資金調達と入札戦略に約6カ月間の準備期間がある。
FCCは、入札対象の周波数帯の約3分の1を獲得する企業が最終的に構築するブロードバンド網について、消費者がすべての携帯電話機やその他のワイヤレス機器に利用できるようにすることを義務づける。携帯電話サービス会社は現在、携帯電話機とサービスをセットで販売しているが、これが消費者の利用できる機器の種類を制限している。
落札企業はまた、電子メールや動画サービスなど、すべてのアプリケーションのアクセスも可能にするよう義務づけられる。FCCは、携帯電話サービス会社が現在提供しているよりも、できればより低い価格で、インターネット接続が一層容易になるようにしたい考え。一方、無線通信事業免許保有者による伝送容量の卸売りベースでの販売を求めたハイテク企業と消費者団体による一段と踏み込んだ提案は退けた。
インターネット検索大手のグーグルやヤフー(Nasdaq:YHOO)、半導体最大手のインテル(Nasdaq:INTC)、インターネット競売大手イーベイ(Nasdaq:EBAY)傘下のインターネット電話サービス会社スカイプなどのハイテク企業は、今回のFCCの決定で一部勝利を収めた格好。これらの企業はすべて、FCCが入札を無線ブロードバンド市場での競争促進に利用するよう働きかけていた。
スカイプの規制関連業務担当ディレクター、クリストファー・リバーテリ氏は、決定を「すばらしい第一歩」と評し、消費者が好みのワイヤレス機器を購入し、通信サービス会社を乗り換えた場合でも機器の継続利用が容易になる、と語った。
入札対象となる無線周波数帯は、建物を貫通し、伝送範囲が広いため、民間の無線通信事業者を対象とした入札では過去最高級のものと広く考えられている。その大部分は、テレビ局が大量の周波数帯を必要としないデジタル方式に移行するのに伴い開放される帯域。
米携帯電話サービス大手ベライゾン・ワイヤレスはコメントを控えた。同社は、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(NYSE:VZ)と英携帯電話サービス大手ボーダフォン・グルーフ゜(NYSE:VOD)の合弁会社。米通信大手AT&T(NYSE:T)ワシントン事務所の責任者を務めるジム・チッコーニ氏は「FCCはオープンアクセス支持派と既存の携帯電話サービス会社との“適切なバランス”を取った」と語った。
また、「グーグルに有利になるように不正工作をせず、このアプローチを採用した」としてFCCをたたえた。一方、応札見込み企業のどれも、昨夜は参加の意思を明確にしていない、と指摘した。
グーグルの通信担当顧問、リック・ホイット氏は、ブログ(日記風の簡易型ホームページ)への書き込みで、FCCのケビン・マーティン委員長がオープンアクセス構想を受け入れる方向に動いていると称賛。また、同社は向こう数週間、入札参加の是非を決定する前に規則の詳細を綿密に調査する、とした。
ハイテク各社は、入札に掛けられる62メガヘルツのうち22メガヘルツを落札する企業に対し、伝送容量の卸売りベースでの提供をFCCが義務づけるよう求めていた。この立場は、民主党系のFCC委員であるマイケル・コップス氏とジョナサン・アデルスタイン氏が支持していた。
マーティン委員長と同じ共和党系の委員らは、より懐疑的な見方を示した。デボラ・テイラー・テート氏は、よくて気乗りしない程度だと言明。FCCの最も新しいメンバーであるロバート・マクドウェル委員は、この構想に反対し、グーグルのロビー活動について「特定の事業計画を優遇するため、(委員の)過半数は、誰にも似合わない、高度なオーダーメード衣装を作った」と述べた。
消費者団体や公益団体は、卸売りサービスに反対するFCCの決定について不満を漏らしている。
一方、公安部門は意気を上げた。約10メガヘルツが無線通信事業者1社に割り当てられる。この企業には、消防・警察・危機管理サービス当局と提携し、当局の無線ブロードバンドサービスへのアクセスの提供が義務づけられる。
この10メガヘルツの全米規模の無線通信事業免許を落札した企業は、その後、投資の埋め合わせとして余った伝送容量を商業ベースで販売することができる。
ベライゾン・ワイヤレスのほか、フロントライン・ワイヤレス(本社・ノースカロライナ州グリーンズボロ)やシリコンバレーの新興企業グループ、元FCC委員長のリード・ハント氏、マーク・ファウラー氏など著名政治家もこの周波数帯に関心を寄せる可能性がある。フロントラインは、この帯域を官民のパートナーシップを通じて利用する構想を提案した。
残り半分の周波数帯に関する事業免許は、米国の多数の大都市圏や地方を網羅する。こうした免許は、サービスの拡大を目指す、より資本規模の小さい、地方の通信サービス会社が購入するとみられる。
また、米携帯電話サービス5位のオールテル(NYSE:AT)や地域ブロードバンドサービス会社の米メトロPCSコミュニケーションズ(本社・テキサス州ダラス)などの中堅企業がサービスエリア拡大のため、この周波数帯の一部の購入を目指す可能性もある。
マクドウェル委員は、ベライゾンやAT&Tなどの携帯電話サービス大手が、オープンアクセス要件を理由に大きな帯域への応札を見送り、その代わりこうしたより小さな無線通信事業免許に応札することでコストが跳ね上がり、資本規模の小さい地方企業が締め出されかねないとの危ぐを表明した。
[2007年8月2日]