ツーカー跡地に基地局整備・KDDI系のWiMAX、09年夏に本格開始
2.5ギガヘルツ帯の周波数を使った高速無線通信サービスが2009年から始まる。早くからWiMAXに取り組んできたKDDI系のワイヤレスブロードバンド企画(WBB)は、ウィルコムとともに、昨年12月下旬に使用免許を勝ち取った。WBBの片岡浩一取締役に今後の事業計画を聞いた。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITzx000030012008
――NTTドコモ・アッカ連合、ソフトバンク・イーモバイル連合との競争に勝って電波を獲得した。KDDIは早期からWiMAXに取り組んでいたが、自信はあったか。
自信満々だと思ったことは一度もない。途中経過では他社の名前も報道で出てきて、KDDI社内でも「大丈夫か」と言われた。そもそも今回は新しい審査方式で予測しにくいところもあった。
――サービス開始までの計画は。
片岡浩一取締役
2009年2月に東京や神奈川といった首都圏で、試験サービスを始める。試験サービスと言っても設備的には通常の商用レベルにする。09年夏には商用サービスに移り、その時の人口カバー率は数十%になる。09年度末には東名阪や札幌、福岡などほとんどの主要都市で使えるようにし、人口の5割をカバーする。12年には人口カバー率93%を計画している。
――総務省での審査では基地局の整備について他者より評価が高かった。どのように整備を進めるのか。
この3月にサービスを終了するツーカーの跡地を使う。総務省のルールでは携帯電話のサービスをやめたら基地局を撤去しないといけない。ツーカーの携帯基地局の撤去とWiMAXの基地局の設置を同時に行っていくので効率的に整備できる。ツーカーの基地局がない東名阪以外のエリアではauの基地局との併設もあるだろう。そもそも基地局の設置にかかる80%の時間は用地取得だ。それが必要ないのでスムーズに進められる。
――サービスのラインアップはどうなる。
まずはパソコン向けの通信サービスだが、ベースは定額制のものになる。ライトユーザー向けに従量制のサービスも投入するだろう。価格についてはまだ言えないが、携帯電話と同じ通信速度のサービスであるならば、確実に携帯電話向けよりも安くなる。
――パソコン向けとしてはどのような利用形態となるか。
ひとつはカード型端末を開発して、それを差し込んで使ってもらう。それからインテルが出資者にも入っているので、無線LANのようにノートパソコンに標準装備できるようにしてもらうことも考えている。
――パソコン以外の利用方法はどのようなものがありえるか。
ノートパソコンより小型の「ウルトラモバイルPC(UMPC)」などとWiMAXの高速通信で実現できる新しいサービスや機能がメーカーなどで検討されている。端末だけでは処理能力が足りなくても、無線ネットワークを通じてデータセンターの高い処理能力と融合させて利用するようなサービスが出てくるだろう。
――若者の一人暮らしなどで、固定電話を引かずに携帯で済ますこともあるが、同様のニーズはパソコン向け通信でもあるのか。
片岡浩一取締役
若い世代の人がいちいち固定の回線を引かずに利用したいということはあるだろう。また引っ越しの多い人にとっても、固定のようにそのたびに契約をし直す必要がないので便利だ。
――MVNO(仮想移動体通信事業者)への開放が前提になっている。
MVNOを希望する事業者とあいさつ程度のことはしているが、まだ具体的な条件を話し合う段階ではない。
――MVNOが試験サービス段階から参加したいという場合は受け入れるのか。
やりたいというところがあったら一緒にやることになるだろう。ただし、試験サービスなので請求書までその事業者向けに作るというようなことは難しいかもしれない。
――ウィルコムとの競争についてはどう考えている。
切磋琢磨して市場を作っていきたい。商品性としてはウィルコムの次世代PHSとかなり重なることになる。ただ、我々としては国際規格のWiMAXを採用しており、海外など様々なパートナーと組むことができる。国際ローミングなどの連携もできるだろう。
――携帯電話も高速化しているが、筆頭株主のKDDIとデータ通信市場を奪い合うことにならないのか。
WiMAXは音声についてはあまり想定していない。携帯電話が3.9G、4Gと高速になっていっても、データを大容量に使う場面ではWiMAXのほうが魅力的だろう。携帯はやはり音声が基本で、その性質上データを大量に扱うのはあまりメリットがない。WiMAXで「スカイプ」のようなインターネット電話も利用したいという人もいるかもしれないが、携帯電話の音声通話のニーズとは違うものだと考えている。
[2008年1月31日/IT PLUS 聞き手は鈴木陽介]