iPhone版Skypeは実用に耐えるか?
3月31日、iPhone対応版のSkypeが登場した。
http://ascii.jp/elem/000/000/408/408609/
いろんな意味で2009年のキラーアプリとなりそうなiPhone版Skype
Skypeは言わずと知れた、ネット電話ソフトの代名詞的存在だが、iPhoneやiPod Touchでも無料のIP通話が可能になったということで、再び注目が集まっている。無線LAN接続ができる環境であれば、通話料0円でSkypeユーザーと通話が出来るし、あとで詳しく述べるがスカイプアウトの機能を使えば、一般電話とも割安で通話が可能だからだ。ビジネスの削減になるかもしれない。
ということで、早速、使用感や注意点などを探ってみるべく、iPod Touchを持って外回りをしてみることにする。
まずは料金体系を再確認
そもそも、iPhoneやiPod TouchでSkypeができるとどうお得なのかを確認しておこう。
筆者は通信代金を抑えるべく、イーモバイルのH11T(イーモンスター)を通信と通話両方に使っている。おおよそ毎月1万円強で収まっているこの費用をさらに圧縮したい。
Skypeから一般の電話に発信するためには、スカイプアウトと呼ばれる機能を利用するために事前にポイントを購入しておく必要がある。ドル換算のレートなので日々変動するが、記事執筆時点では、以下のような料金となっている。全て通話1分あたりの単価だ。
Skypeアウト
固定電話への通話……約3円(3.059円)
携帯電話やIP電話への通話……約20円(20.125円)
これを、比較的料金が安そうな印象のあるイーモバイルや、ソフトバンクのホワイトプランと比較してみよう。
イーモバイル
携帯・固定電話への通話(共通)……約40円(\37.8)
イーモバイル同士だと通話無料になるプランなども用意されているが、筆者の周りにはイーモバイルで通話をしているユーザーがおらず、除外して考える。
ソフトバンク ホワイトプラン
携帯・固定電話への通話(共通)……約42円
スカイプアウトの注意点:市外局番の最初の0を入力すると無効な番号と見なされることも。その場合は0を抜いた番号でダイアルする
こちらも、ソフトバンクだと通話料無料だったりする。こちらは適用となる例も多いだろう。イーモバイル、ソフトバンクとも、30秒が課金単位なので、「今行きます!」くらいの短いメッセージでは有利。しかし、それを超えるとSkypeの方が約半額と割安になってくる。
もちろん、月額料金に通話料が含まれていることなども考慮する必要があるが、基礎知識として、この料金差は頭に入れておくと良いだろう。
Skypeは当然、無線LANに接続できる環境でないと通話することが出来ない。したがって、この料金差も考えると「無線LANアクセスポイント近くで移動せず、一定時間以上通話する」シチュエーションでの利用がお薦めだ。
何が必要か?
App Storeでも既にランキングの1位となっている人気アプリだ
iPhoneの場合は、App SoreからSkypeをインストールすれば準備完了だ。まだSkypeのアカウントを取っていない場合は、この機会に登録しておこう。後で述べるようにパソコンにも同じIDでSkypeを導入しておくと更に便利に使いこなせる。
iPod Touchで通話したい向きには、別途マイクを用意する必要がある。筆者は、お気に入りのイヤホンをそのまま使いたかったので、オーディオテクニカのAT335iを用意した。リモコン機能も同時に手に入り、価格も1300円前後とお買い得な一品だ。また4月の上旬からはSkypeの登場を見越してか、カプセル型のマイクなど、この種の周辺機器が複数登場するので、そちらを試してみるのも楽しそうだ。
さっそく試してみる
マクドナルドで遠隔会議。音楽を聴きながらぶつぶつ言う人に見えなくもない
2時間の会議終了後のバッテリーの状態。フル充電して臨んだのだが……
ITコンサルタントの仕事もする筆者は、毎週、Skypeで遠隔会議を行なっている。これまでは事務所のPCを使っていたが、iPod Touchでこれが実現できれば、移動の途中でも会議が出来て便利かも知れない。早速、よく利用するマクドナルドで実験してみることにした。
今日の会議は2時間。バッテリーの減り方や音質が安定しているかを確認していった。
まず音質だが問題ないレベルだった。PCに比べると若干遅延がある感じは否めないが、やり取りは成立する。むしろ音楽用のイヤホンの性能のお陰もあり、音質は携帯よりも良いと感じられた。
問題はバッテリーの減り方。レビューでは本体が熱くなるといったコメントもあり、CPUに相当負荷が掛かっているためか、バッテリーも順調に減っていった。
待機状態からの着信も可能に
不在着信もホーム画面で着信があったことを確認できる
これまで、firngなどの無料チャットツールでSkypeのチャットを受けるためには、アプリを起動している状態で待機させておく必要があった。今回のSkypeはアプリを終了させていても、音声着信・チャットを受けることが出来るため、実用性はかなり上がったと言える。
仮に無線LAN圏外であっても、PCの方にもSkypeを同じIDでインストールしておけば、着信があったことをそちらで確認することも可能だ。もし、更に完璧に着信を受けたい場合は、スカイプインと着信転送を組み合わせることで、iPhoneや携帯電話で通話を受けることも出来る。
まとめとおまけ
こんな具合に、iPhone・iPod Touchの音声通話のバリエーションを拡げるSkypeは必須アプリの一つに躍り出たと言えそうだ。Wireless GateやFONを活用していれば、Skypeに通話を切り替えて、長電話の通話料を浮かせることも現実的になってきた。
気になるのはSkypeの利用が拡がった時に、ソフトバンクなどのキャリアのビジネスモデルに影響が出る可能性もあることだ。かねてから携帯でIP電話が実現すると、既存設備、特に圏外を無くすために各所に整備したアンテナ投資が無駄になるのではないかという指摘もあった。オフィスでは既に広くIP電話の導入が進んでいる。Skypeが携帯型IP電話の先駆けとなるのか? その影響についても注目しておきたい。
そして、おまけ。この記事をまとめている時に気がついたのだが、Windows Mobile版のSkypeをイーモンスターに入れていることを思いだした(汗)。今回、iPod TouchをiPhoneに一歩近づけたいという気持ちですっかり忘れていたのだが、こちらの方が多分簡単に携帯IP電話が実現するはずだ。道具に使われた感があるが、まあこれも一興ということで……。
イーモンスターをルーター化するWMWifiRouterまで用意して、どこでもSkypeを実現するということも考えてみた。手段が目的化する典型だ
著者紹介:松本淳
ネットベンチャー・出版社・広告代理店等を経て、現在、東京大学大学院情報学環修士課程在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、デジタル方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース支援活動を行なっている。米PMI認定PMP・デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。